「水に入れても浮かぶ物質は水の密度より小さい。沈んでしまうものは密度が大きい。」 期末テストに出た問題。私は授業でなんとなく聞いたことを思い出し書いただけだったが、合っていた。今日、テストが返されて、結構良い点が取れていたので、安心した。
今日、私は四人くらいの友達と帰った。私の学校は裏門と正門があるが、私たちは、学校の中庭を通って、裏門から帰るのだ。
みんなで、返された解答用紙を手に、それぞれのテストを見せ合 いながら、ゆっくり歩いている。 今は花壇や池がある綺麗な学校の中庭の間を縫って、ぶらぶらと歩いているところだ。 私は自慢げに自分の点数を披露した。 そのあとに続いて、みんなも点数を教え合い、わいわい話していた。
でも、私の親友は、点数の話に入っていなかった。親友は頭が良いので、テストの話では、きっと一番偉そうに話すだろうと思っていた。しかし、親友は自分の点数のことを話す気配を、一向に出そうとしない。
私はどうしたのかと思った。 けれど、自分の点数は親友の点数より下だろうし、 自慢されるのも嫌なものだから、こっちの方からも点数を聞かなかった。 しかも、テストの点数で勝負しようと約束していたので、私が負けると、絶対何か言ってくる。うーん。あいつは点数を聞かれるのをまっているのだろう、と思った。
少し話が進んだ時、とうとう別の友達が、親友に点数を聞いた。なんと、親友は、とてもがっかりしながら点数を打ち明けた。結果が悪すぎたせいか、目がうるうるしている。今にも涙が出てきそうな気持ちだろう。
自分の点数を自慢したのは、悪かったなあ・・・。私は「そんなことないよ」と何回も慰めたが、いい言葉がみつからない。私は何を言ったら良いかとあれこれ急いで考えていた。他の友達も、慌てている。
そんな緊張の空気の中で、何かを動かすように、サッと風が吹き、友達の悪いテストが飛んでいってしまった。あ、と追いかけようとすると、紙は中庭の池に入ってしまった。
まだ水面にかぶさるようにプカプカと浮いているが、油断もできない。親友は、手を伸ばし、紙に触れた。すると、紙の上に水がサラっと入ってきて、あっというまに、手が届かないくらいに沈んでしまった。
・・・・・。
みんな、どうしたらいいのかわからず、黙っている。 私は、心の中で必死に言葉を探している。 その時「あっ」とひらめいた言葉。
「点数は高かったかわからないけど密度は高かったんだね。水より ! …」
私は言った瞬間、恥ずかしくなった。なぜこのような状況の中でこんなおかしいことを言ってしまったのだろうか。私の頭にも、ヒヤッとした風が通り過ぎた。
しかし、なぜか友達はみんな、一斉にクスクスと笑い出した。
悪い点数を取った親友は、家に帰ったあと、お母さんに聞かれた。
「点数はどうだった?」
親友は、不意に明るい声で言った。
「密度は高かった。」
お母さんは、首をかしげた。


コメント
発想のセンスがユニークで好きです。次回作も期待します!長編作品も読んでみたいです。楓さんは創作活動に向いていると思います。活動の領域が広がって楽しみが増えました!
起承転結がしっかりしてますね。
点数は悪かったけどそんなことより友達の気遣いが嬉しかったということかな。
私の頭にも、ヒヤッとした風が通り過ぎた。
ってトコいいですね。
一行目が効いてくるとは…!