スポンサードリンク

[ショートショート]演技

 学校で、劇をやることになった。親友は、監督になったため、芝居には出てこない。私は、かなり重要な人物として出演する。その打ち合わせをしている時だ。

 私の演技する登場人物の台本の中に、「他の人たちに責められ、どうすればいいか懸命に手段を考えている」というジェスチャーが入っていた。台詞ではなくて、動きをするだけの場面だが、親友はここにこだわる。

 私が頭を抑えて首を簡単に傾げただけでは、親友はOKしてくれない。そこの考えるジェスチャーを何回もやり直したが、親友は、
「もっと自然に、自然に!」
と言っている。私は、どうすれば良いのか、分からない。監督の説明は、分かりにくいなあ。

 そして、監督は、しばらくして言った。
「自分で、どうすれば自然な動きになるのか、考えて。」

 私は、困った。でも、監督は本気らしい。だから私も真面目に考えた。頭の中で集中しながら、様々な方法を思い巡らせる。そう、簡単ではない。私の顔には、喜び、怒り、驚き、悲しみ、と、たくさんの表情が走っていった。

 自然に表現するには、・・・と、考えているうちに、私は、 本当の登場人物の気持ちのようになっていた。「どうすればいいか、懸命に手段を考えている。」そのものだった。

 と、同時に、私の創っていった頭の中の考えに、 突然、監督の声が勢い良く乱入してきた。

「はい!」

わたしは驚いた。 熟睡しているときに、大音量で目覚ましが鳴り響いた時のようだ。 続けて監督は言った。
「合格。本番もそれでいってね。」

コメント

  1. jinsei7568 より:

    監督は親友なのだから普段とても仲がいい。
    →でもなぜか怖いくらいに厳しく圧をかけてくる。まるで別人のよう。
    →実は私の演技を引き出すためにわざとやっていた。
    →親友名監督すぎるw

    って流れが入ってるのかな。

タイトルとURLをコピーしました